【外来カミキリ御三家に立ち向かえ】外来カミキリバスターズ始動!

福島に迫る“外来カミキリ御三家”の影

私たちが駆除・防除の対象として扱っていく「外来カミキリ御三家」とは、『サビイロクワカミキリ』『ツヤハダゴマダラカミキリ』『クビアカツヤカミキリ』の3種類です。このカミキリについて、簡単にまとめました。

「木が枯れた」の原因はカミキリかも?

庭木が枯れたり弱ったりしているとき、多くの人は水や肥料、天候などの問題だと感じるかもしれません。もちろんこれらが影響している場合も多いですが、もうひとつの原因として『カミキリムシが侵入しているかも』と疑いを持ってください。

もちろんすべてのカミキリが脅威になるわけではないものの、「たかがカミキリで…」と甘く見てはいけない種類もいます。それが、通称『外来カミキリ御三家』です。

外来御三家はなぜ危険なのか

外来御三家が危険な理由は、圧倒的な繁殖力と摂食量(木をかじる量)の2つです。外来種としてはよくある話ですが、この“産卵”と“食害”が1本の木で数多く発生すると、わずか数年で枯れてしまうことがあります。

また、一般的なカミキリは朽ちた木を食べる“森の掃除屋さん”であるのに対して、この3種は元気に育っている生木をかじっていきます。具体的に各カミキリが対象としている樹種は、以下のとおりです。

【外来御三家が食害する樹種】
・サビイロクワカミキリ:主にイヌエンジュやエンジュ
・ツヤハダゴマダラカミキリ:トチノキ、カツラ、カエデ類、ヤナギなど文献上では50種以上
・クビアカツヤカミキリ:モモ、サクラ、ウメを中心とするバラ科樹木が多い

特にサクラはどの地域にも植栽されていて、毎年開花を楽しみにしている方も多い“生活に馴染んだ樹種”です。そのうえ果樹農家にも被害を被っていることから、産業に大ダメージを与えかねません。

これ以上生息地が拡大しては、手遅れになる可能性も十分秘めています。

福島は外来御三家にとって最適な生活場所

郡山市の街路樹にはイヌエンジュが多く植栽されています。三春町には全国的に有名な『三春滝桜』があり、県北部ではモモやリンゴなどのくだもの生産が盛んです。

つまり外来御三家にとって、福島県は生息できる抜群の環境が整っています。

実際に2021年にサビイロクワカミキリが初確認されて以降、郡山市の街路樹は倒木や枯死が相次ぎました。クビアカツヤカミキリが爆発的に増えている栃木県佐野市では、果樹が生産できなくなるほどの大打撃を受けています。過去には徳島県や和歌山県でも果樹農家に被害が出ました。

これまでの傾向を見ても、福島県の自然や産業が大きな影響を受けるのは妥当です。決して見逃せない外来種の脅威が、刻一刻と迫っています。

『外来カミキリバスターズ』だからできること

福島の自然は、福島の樹木医・研究員・庭師が守り抜く。その意思を胸に2023年5月1日に設立されたのが、外来カミキリ対策室。通称『外来カミキリバスターズ』です。

サビイロクワカミキリの第一発見者である安齋を代表に、各領域を専門に扱う会員6名で結成されました。

現場仕事で頻繁に樹木を扱う者がいち早く被害を確認し、その痕跡を基にカミキリ研究をしてきた者が対策案を検討。伐採業務が発生したら特殊伐採員が出動し、その樹木を二次利用するなら製材業者にアクセスする。

各々の所属は違くても、これまで培ってきた経験やネットワークを駆使すれば迅速に対応できます。これが個人の活動ではできなかった“組織としての強み”です。

外来御三家に2~3年間の猶予を与えてしまえば、被害が倍増しかねないほどの威力を持っています。だからこそ、対応速度を意識して行動できる組織を構築しました。

今から立ち向かえば抑えられることは十分にあります。自然相手とはいえ、「やらずに手遅れになること」だけは御免です。

まだまだ少数精鋭の組織ですが、“外来カミキリバスターズ”だからできることに挑戦していきます。この活動に興味を持っていただいた方は、ぜひお力を貸してください。

どうぞよろしくお願いいたします。

>豊かな自然を守るために、やることがある。

豊かな自然を守るために、やることがある。

防除対象の外来カミキリムシだって、懸命に生きています。

ただ…

「毎年サクラを楽しみにしてるから」
「街路樹が倒れて“人間が”ケガをしないように」
どれも人間のエゴで駆除される命です。

だからこそ、『住む場所』を分けましょう。

彼らの生態を知る我々だから、日本の生き物を、日本の自然を守ることができる。
これが【外来カミキリバスターズ】の使命です。

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